【芥川賞2020】宇佐見りん「推し、燃ゆ」感想&書評

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2020年下半期 第164回芥川賞受賞作品 宇佐見りん「推し、燃ゆ」を読んでみました。


1月20日に選考会が行われたので、受賞ほやほやですね。
先生のプロフィールもおさえつつ、
感想を自分視点でしっかりつづっていきたいと思います!

この記事を書いているライターのプロフィール

・30代前半女性
・文学部出身。ツイッター廃人。
・宇佐見りん先生とちょうど10歳違い

宇佐見りん先生プロフィール

1999年生まれの2021年現在21歳だそうです。
お若いですね!

若くして芥川賞を受賞された小説家といえば綿矢りさ先生を思い出します。
綿矢さんは個人的には芥川賞の「蹴りたい背中」よりこちらの方が好き。

宇佐見りん先生は静岡県沼津市生まれで、2019年に『かか』という小説で芥川賞の前に文藝賞を受賞されています。

こちらの作品も非常に気になりますね!

「推し、燃ゆ」あらすじ

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」

主人公のあかりは、学校生活に馴染めず、家族との関係も上手くいかず、
毎日ギリギリの高校生活を送っている。
そんな彼女を支える唯一の希望の光は「推し」の存在だった。

  

「推し」とは?
「推しのメンバー」の略語である「推しメン」をさらに略した言葉。
アイドルやグループなどに属していて、一番好きなメンバーのことを指す。
主にアイドルグループ、声優、二次元キャラクター、舞台俳優など。

  

主人公はアルバイトをしながら推しの活動を支えるために必死で働く。働いたお金は全て推しのために注ぐ。

推しの存在は彼女を突き動かしていた。

しかし肝心の「推し」は不祥事を起こしてしまい、態度の悪さも相まって世間から叩かれてしまう。
そしてそんな生活が祟って彼女の身にもついに「あること」が起きてしまう。

「何もかも上手く出来ない」不器用な女子高生と若者文化を鮮烈に、リアルに描いた作品。

「推し、燃ゆ」感想

THE:芥川賞という雰囲気バリバリ

まさに「現代文学」という感でした。世の中の流れを汲んだストーリー展開がまさに芥川賞ぽい。

若者ワードてんこ盛り!

まさに令和の今しか書けない、読めないような内容の小説です。
100年後にこの小説はどう読み解かれてしまうのでしょうか(笑) 

「炎上」というホットワードを筆頭に、様々な若者言葉が飛び交います。
私はまだなんとかついていけましたが、ピンとこない方も多いのでは?

 

「推し」「インスタライブ」「ストーリー」「エゴサーチ」 etc…

 

主人公のあかりちゃんが使っているブログはきっと「note」のことだと思います。
noteでの「推し語り」は実際に良く見かけますね。

とにかく現代ツールがてんこもり。自分も実際に色んなSNSを使っているので親近感が湧きました。

実話みたいな、誰かの手記のようなリアルさがありました。

自分の「推し」が燃えたことがある人は共感できる

 

私のかつての推しも炎上したことがあるので、非常に共感できました。
アンチとファンが対立して混沌とするSNSや掲示板。

誰でも好きな言葉を発せられるツールは現代の文化とも言えますが、その分、闇も深いです。
公表していないはずなのに、簡単に住所まで特定できてしまう。

私の推しも

・炎上
・住所特定
・本名特定

もうフルコンボで全部やってます。わあ!真幸くんと一緒だ!

一人一人の匿名の発言が、巨大な力に変わって悪い方向へどんどん流れてしまう。
そんな現代の大きくて暗い闇がリアルに表現されています。

昔と違ってファンとの距離が近い分、悪い空気に流されやすい。
きっと彼女の「推し」も、そんな世界に疲れて果ててしまったのかもしれない。そんな印象でした。
(実際に私の推しも炎上のあと脱退してしまいました…辛かった涙)

昨今のSNS文化を非常に正確に表現していて、まったく他人事とは思えませんでした。
若者目線から見た「応援している人が炎上し、失墜していく様」を見事に描いています。

主人公は「現代社会を生きづらい人」の象徴

 

※作品について少しネタバレ含

病名についてははっきり明言されていませんでしたが、
主人公は作中で「ある病気」、と診断されています。

主人公がアルバイトをしているシーンでは、この病気の心の特徴がリアルに描かれています。
私が本当にすごい、と思ったシーンです。
是非、本作を読んで体感してみてください。

「ある病気」を持っていて、日常生活が上手く送れない、皆が出来ている簡単なこともできない。

そんな主人公が唯一ちゃんと打ち込めて、はじめて人から感謝されたり必要とされたことが「推しを推すことでした。いわゆる成功体験です。


でもある日突然推しがいなくなった事で「背骨がなくなったみたい」と
表現したのが非常に痛々しかったです。

彼女を支えていた唯一の柱だったのに。これを奪われるのはつらい。

主人公が持つ病気や、実体のない「推し活」「ヲタ活」という活動に対しての周囲の理解の無さが、どんどん現実を侵食してくる過程がリアルでした。

共感できるだけあって、非常に辛かったです。

結末の表現は、ぐさりと刺さりました。まさに「そうするしかない」んだよなあ…。

まさに推しが燃え尽きて、主人公も燃え尽きたような、そんな最後。
読んでいて私も胸が焼け焦げていくような感覚に陥りました。

ヲタ活をしていて、推しを推すことが生きがいになっている人には刺さりまくると思います。

オタ筆者
オタ筆者

この本…わたしに刺さりすぎてつらい

まとめ

この本を全てを読み終わって、この主人公の事をただの「怠け者」と思ってしまったか、
すこし同情や共感してしまったかで、感想が分かれそうです。貴方はどちらでしょうか。

「怠け者」「愚図」と感じてしまったなら、理解の無い「家族側」の方かもしれません。


私は少なからずこの主人公のように生きづらさを感じている側の人間なので、
主人公の心に非常に共感してしまいました…。

上手くやれない、馴染めない。がんばっているのに、がんばっていないと思われることが、どれほど辛いことか。

自分もこんな風に不器用でもがき苦しんだよなぁ…と思いながら読んでいました。

ホントにがんばってるんだけど…結果が中々ついてこない…
めっちゃわかる…

若者に限らず、生きるのクソ下手な人は少なからず共感できると思います。

これぞ芥川賞!日本の最先端の現代文学!と言っても過言ではないでしょう。
間違いなく2021年現在の日本で一番新しい文学作品です。

若者が書いた若者視点の新しい、瑞々しい感性の文学、ぜひあなたも体験してみてください。

いつ読むの?
絶対今でしょ!(古い)

文庫になるまで待ってたら鮮度が落ちてしまいます。

今すぐ読んで、受け取って、感じる物語でした!

 

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